研究課題/領域番号 |
20590534
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
本間 真人 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90199589)
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研究分担者 |
幸田 幸直 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40143482)
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キーワード | リバビリン / 赤血球内濃度 / SLC29A1 / ゲムシタビン / ジピリダモール / 避妊期間 |
研究概要 |
昨年度までに、核酸誘導体のリバビリン(RBV)で治療を受けている患者のうち約30%において、赤血球内RBV濃度が高く、半減期(T1/2)が延長しているため、添付文書で注意喚起されている避妊期間(投与終了後6カ月)では血中から完全に消失しないことを明らかにした。本年度は、そのような患者の識別を目的に、赤血球内RBV濃度とそのT1/2に影響すると考えられる細胞内への核酸誘導体の取り込みにかかわる輸送タンパク(SLC29A1)の影響を検討した。 先ず、ヒト赤血球(RBC)と末梢血単核細胞(PBMC)におけるRBVとゲムシタビン(Gem)の細胞内取り込みに関するin vitro実験を行い、SLC29A1の影響を検討した。その結果、RBVとGemのRBCおよびPBMC内への取り込みにはSLC29A1が関与しており、SLC29A1の阻害剤によって取り込みが1/10~1/100に抑制されることを確認した。GemのPBMCの取り込みにはSLC29A1遺伝子多型(-706G>C)が関与していることも明らかにした。 次いで健常被験者6名を対象にしたRBVの単回投与を行い、SLC29A1阻害剤であるジピリダモール(DP)の併用(75mgを3日間)が血中RBV濃度に及ぼす影響を調べた。DP併用により血漿RBVの最高血中濃度到達時間の延長と最高血中濃度の低下が認められ、消化管からのRBVの吸収が遅延すると考えられた。しかし、この効果は、血中濃度曲線下面積やT1/2に影響するほどではなかった。また、DP併用は赤血球RBV濃度に影響しなかった。 以上より、SLC29A1はin vitroにおけるRBVやGemの細胞内取り込みに影響するが、患者で見られる赤血球RBV濃度の上昇やT1/2の延長との関連は少ないと考えられた
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