研究課題/領域番号 |
20590539
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高橋 英夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60335627)
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研究分担者 |
西堀 正洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
吉野 正 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70183704)
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キーワード | HMGB1 / RAGE / B細胞リンパ腫 / 単球・マクロファージ / 活性酸素 / 接着分子 / AGE / オータコイド |
研究概要 |
High mobility group box1 (HMGB1)は、クロマチンに結合する構造蛋白あるいは遺伝子の転写・調節に関与する核内蛋白で、receptor for advanced glycation end products (RAGE)のligandとして知られるが、壊死組織から、もしくはある種の刺激で単球・マクロファージから細胞外にサイトカインのごとく分泌され、免疫応答に大きく関与していることが近年の研究で明らかになった。申請者らは抗HMGB1抗体を精製し、リンパ節組織を免疫染色した。B細胞リンパ腫の濾胞はHMGB1を強発現していた。HMGB1を精製し、ヒト悪性リンパ腫由来のB細胞cell lineに添加刺激したところ、HMGB1は細胞増殖を誘導した。さらに、抗RAGE抗体、抗HMGB 1抗体、可溶性RAGE(sRAGE)を精製し、抗HMGB 1抗体、抗RAGE抗体とsRAGEはHMGB1の増殖誘導効果を抑制した。ヒト悪性リンパ腫cell lineを抗RAGE抗体によりRAGEの蛍光染色を行うとRAGEが発現し、HMGB1で発現増強した。B細胞リンパ腫の発生原因は、リンパ節濾胞におけるB細胞の増殖と分化異常であり、単球・マクロファージは濾胞でB細胞の増殖と分化を調節していると考えられている。悪性リンパ腫患者のリンパ節組織において、単球・マクロファージにHMGB1が発現していた。RAGEのligandである、HMGB1やAGEは、単球を活性化し、細胞内の活性酸素を産生誘導して、細胞膜上の接着分子発現を誘導した。細胞内の活性酸素がセカンドメッセンジャーとして働き、接着分子発現を誘導していた。こういった単球・マクロファージ活性化は、ヒスタミンやプロスタグランディンE2などのオータコイドで抑制された。これらのオータコイドは単球・マクロファージより産生され、B細胞の増殖と分化へ何らかの影響を及ぼしている可能性があると考えられる。単球・マクロファージの細胞膜上の接着分子は、B細胞の増殖と分化に関与していると考えられていて、以上のことは、B細胞の増殖と分化のメカニズムを示唆する。HMGB1は、単球・マクロファージの活性化し、液性免疫の機構を作動させていると考えた。
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