研究課題/領域番号 |
20590540
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
入江 徹美 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (60150546)
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研究分担者 |
高濱 和夫 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (80150548)
安東 由喜雄 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20253742)
石塚 洋一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (70423655)
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キーワード | アミノフィリン / 中枢神経傷害 / 医薬品副作用 / 新生児医療 / 呼吸興奮薬 / 薬物有害事象 |
研究概要 |
早産・低出生体重児の無呼吸発作の治療に用いられるアミノフィリンの有効で安全な使用法を医療現場に提供するため、本研究は、1)構築した病態モデルの妥当性を検証し、2)病理組織学的観察、血液生化学的surrogate markerの特定、薬物濃度モニタリングなどの結果を総合的に解析して、本剤による中枢神経傷害の機序を明らかにし、3)その機序に基づいた中枢神経傷害の予防・軽減法を確立することを目的に検討する。昨年度までの病態モデルを用いたアミノフィリンによる低酸素時での傷害メカニズムおよび他の無呼吸発作治療薬カフェインおよびドキサプラムの中枢傷害性に関する調査に加え(現在国際誌に投稿中)、平成22年度は、in vivoにおいてアミノフィリンによる中枢神経傷害に対する予防・軽減候補化合物のスクリーニングを、in vtro細胞培養系における傷害機序解析および傷害性比較について検討を重ねた。 昨年度までに確立した病態モデルを用いて、各種神経細胞のスクリーニングを行った結果、活性酸素除去薬であり脳保護薬として臨床使用されているエダラボン(30mg/kg)は顕著な抑制効果を有することが明らかとなった。(現在国際誌に投稿中) PC-12細胞およびSH-SY5Y細胞をモデル細胞として、通常酸素条件下や低酸素条件下などの病態および動物モデルの状態を模倣し、テオフィリン、カフェインおよびドキサプラムをそれぞれ添加して培養した結果、いずれの薬物も顕著な細胞障害は誘発しなかった。一方でカフェインはPC-12細胞神経突起伸長を促進する結果が得られた。 以上、本研究成果より、無呼吸発作治療薬のうち、テオフィリン(アミノフィリン)は、低酸素条件下で投与することで中枢神経障害を誘発すること、この機序の少なくとも一部に活性酸素種が関与し、その阻害薬が顕著に傷害を改善することが明らかとなった。
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