研究概要 |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者300名を対象にし,患者を重症度から3つの病期に分類し,病態の進行に関連する重症化関連遺伝子の同定を試みた。候補遺伝子として胆汁酸の合成や排泄等の胆汁酸のホメオスターシスに関わるCYP8B1・CYP27A1・FGF19・FGFR4・UGT1A1・ABCG5・ABCG8・ASBT・FOXO1・GPS2の計10遺伝子の多型を解析し,重症度別に分けた患者群問で多型の出現頻度の有意差検定を行った。 ABCG5およびABCG8遺伝子内の9つのtag single nucleotide polymorphisms(tag SNPs)を多型解析した。PBC重症化と相関を認めた2つのSNPsを組み合わせてhaplotypeおよびdiplotype多型も解析した結果,Hap1/Hap3 diplotypeの出現頻度は最も重症である黄疸群で有意に高く(P=0.009, odds ratio=3.61),重症化感受性遺伝子の一つであることが示唆された。 同様な解析の結果,FGF19,UGT1A1およびASBTも重症化感受性遺伝子であった。今後も重症化関連遺伝子の同定を続けると共に,重症化と関連のあった複数の遺伝子多型を組み合わせて,感度・特異度およびオッズ比の高い遺伝子診断法を確立する予定である。
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