研究概要 |
333名の原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者を進行群と非進行群,あるいは重症化群と非重症化群に分け,その両群間で候補遺伝子(胆汁酸のホメオスタシスに関わる遺伝子や正常の胆管形成に関わる遺伝子)の一塩基多型の出現頻度を比較する相関解析を行うことで,PBCの重症化関連遺伝子の同定を試みた。計26個の候補遺伝子内に存在する109個の一塩基多型を解析した。肝硬変への進行に関与する遺伝子としてCYP7A1,CYP8B1,HNF4A,PPARGC1A,RXRB,ASBT およびABCG8を同定した。また,最も重症で黄疸を伴う肝不全への進行に関与する遺伝子としてCYP7A1,PPARGC1A,RXRB,FGF19,MDR3,ABCG8およびITGAVを同定した。 次に,有意な相関を認めた遺伝子多型をバイオマーカーとして用い,重症化を予測できる遺伝子診断法の開発を試みた。検査法として感度・特異度・陽性的中率・オッズ比およびP値のバランスが最も良かったバイオマーカーの組合せは,肝硬変進行の予測には「CYP8B1+PPARGC1A」が,肝不全進行の予測には「CYP7A1+PPARGC1A+ABCG8+ITGAV」が有用であった。
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