1.ヒト変異ウロモジュリン遺伝子トランスジェニックマウスにおける小胞体ストレス関連遺伝子発現変化の解析家族性若年性高尿酸血症性腎症モデルであるヒト変異ウロモジュリントランスジェニックマウス(変異Tg)におけるmRNA発現量を、ヒト正常ウロモジュリントランスジェニックマウスを(正常Tg)対照として比較した結果、小胞体シャペロンとしてGRP78の132%の転写量増加、GRP94、ORP150の転写量不変を認め、変異Tgの腎臓における小胞体ストレスの存在が示された。 2.ヒト変異ウロモジュリン遺伝子トランスジェニックマウスにおける尿酸トランスポーター遺伝子発現変化の解析尿酸再吸収輸送系としてUrat1の140%の転写量増加、Smct1.Glut9の転写量不変を認め、尿酸分泌輸送系としてABCG2、NPT1の転写量不変を認めた。尿酸動態として変異Tgにおける血漿尿酸濃度の上昇傾向を認めたが、尿中尿酸排泄、クレアチニンクリアランスに変化は認めなかった。 以上の結果より、ヒト変異ウロモジュリン遺伝子トランスジェニックマウスは家族性若年性高尿酸血症性腎症の初期病変として腎障害を示す前段階における小胞体ストレスとUrat1発現増加を示しているモデル動物であることが明らかになった。このため、家族性若年性高尿酸血症性腎症患者における腎不全発症前の病態解明、治療薬探索に有用な動物モデルであることが示された。平成22年度は変異TgにおけるUrat1転写亢進のメカニズムについて検討を進める。
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