研究概要 |
今年度は、まずメチル化遺伝子の標的としてわれわれが選んだ癌抑制遺伝子、common fragile siteに存在するFHTIとWWOXのプロモーターメチル化状態を検討した。川崎医科大学の大槻教授より供与いただいた異なる染色体異常を持つ骨髄腫細胞株(KMM1,KMS11,KMS12,KMS18,KMS20,KMS26,KMS28,KMS34)さらに、ARH77からDNA、RNA、microRNAを抽出。これらの細胞株における、癌抑制遺伝子FHITとWWOX遺伝子プロモーター領域のメチル化状態をメチル化特異的PCR法にて解析した。同意を得た骨髄腫患者の骨髄細胞からCD138抗体と磁気ビーズを用いて、骨髄腫細胞を純化しメチル化状態を検討した。FHITのメチル化についてはやはり検討できなかったが、WWOXについては患者ごとにメチル化状態が異なっており今後WWOX遺伝子発現や患者予後とともに検討する。さらに、FHIT,WWOXのmRNA発現もRT-PCR法により検討を行った。WWOXは発現している細胞でも、遺伝子の一部欠損によるdominant negative formが見られ、メチル化による発現低下以外のWWOX機能低下の機序が認められた。また抽出したmicroRNAからmiR15a,15b,16の発現を検討したが、やはり細胞株ごと、患者ごとに異なっていた。さらに今回メチル化酵素であるDnmt1,Dnmt3a,Dnmt3bの発現をmRNAおよびタンパク質レベルで解析する。タンパク質レベルの解析では、特異抗体によるDnmt発現を細胞の分化レベルに応じたマーカーと同時にフローサイトメトリーによる解析を行う予定である。また患者サンプルにおいては染色体データと合わせて検討する予定である。
|