研究概要 |
川崎医科大学の大槻教授より供与いただいた骨髄腫細胞株KMM1、KMS11、KMS12、KMS18、KMS20、KMS26、KMS28、KMS34とATCCより購入したARH77、RPMI8226、HL60からRNA、DNA、microRNAを抽出し、これらの細胞株における発現などを検討した。リアルタイムPCRによる発現定量の結果、DNAメチルトランスフェラーゼDnmt-1,Dnmt-3a,Dnmt-3bの発現は、白血病細胞株であるHL60より骨髄腫細胞株において、その発現量が高値であった。またDnmtの発現量とmicroRNAのmiR15a,15b,16,29a,29b,29cの発現量には、相関関係がみられ、これらのmicroRNAがDnmtの発現量をコントロールしているという仮説を示唆しているものと考えられた。同意を得た20人の骨髄腫患者骨髄検体よりCD138抗体と磁気ビーズを用いて、骨髄腫細胞を純化したのち、microRNAの発現量を検討した。microRNAのうち、miR15a,15b,16の発現量は染色体異常del 13qをもつ患者検体において少ない傾向が見られた。Dnmtの発現量との相関は現在検討中である。同意を得られた、84人の骨髄腫患者と12人のMGUS患者骨髄単核球からDNA、RNAを抽出し、common fragile site FHITとWWOXのプロモーターメチル化状態をメチル化特異的PCR(MSP)を用いて、またRT-PCRを用いてFHITとWWOXのRNAの発現を検討した。WWOXのプロモーターメチル化は骨髄腫細胞株の2/6に、骨髄腫患者の15%にみられたが、MGUSには見られなかった。85%の骨髄腫患者と63%のMGUS患者、4/6の骨髄腫細胞株で、SRD領域を欠損している短い異常WWOXの発現が見られた。CD138で純化された形質細胞のWWOXは、すべての骨髄腫患者検体で異常WWOXが検出された。しかし、別のcommon frgaile site geneであるFHITでは、異常FHITは骨髄患者の2.5%、MGUS患者の16%にしか認められず、commn fragile site geneでも異なっていた。
|