研究課題/領域番号 |
20590563
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
日高 宏哉 信州大学, 医学部, 准教授 (10362138)
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研究分担者 |
太田 浩良 信州大学, 医学部, 教授 (50273107)
本田 孝行 信州大学, 医学部, 教授 (80238815)
赤松 泰次 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (80212413)
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キーワード | 脂質 / リン脂質 / コリン含有リン脂質 / 質量分析 / 含硫アミノ酸 |
研究概要 |
ホスファチジルコリン(PC)の代謝産物であるリゾ体(LysoPC)の定量的分析法を、MALDI-TOF-MS(飛行時間型質量分析)により検討した。MALDI-TOF-MSでは異なる骨格を持った分子種では定量性が悪いとされるが、PCピークからの換算法によりLysoPCの定量法を確立した。MALDI-TOF-MSでは、脂肪酸側鎖の異なるLysoPCも分析できた。この方法を応用して、脂質負荷試験により、リン脂質の吸収、分布をMALDI-TOF-MSにて検討した。脂質摂取2時間では、リン脂質組成の変化が認められ、変化の程度は血清トリグリセライド濃度に関連していることが示唆された。PCの代謝産物の生成機序を、PCの脂質分解酵素である細菌由来の酵素標品を用いてヒト血清高比重リポ蛋白(HDL)中脂質の水解を行った。HDL中のコレステロールエステルの加水分解とともに、PCを加水分解しLPCを生成する作用が確認された。さらに、代謝産物としてホスホコリンやコリンが検出され、リン脂質が低分子まで水解されることが示唆された。これらから、PCの吸収、代謝過程を酵素定量法とMALDI-TOF-MS法で量的および質的な変動として捉えることが可能となった。次いで,含硫アミノ酸は蛋白の酸化・還元型に関連し、酸化ストレスの指標として注目されている。脂質代謝への含硫アミノ酸結合アポ蛋白の関与を検討するため、蛋白結合含硫アミノ酸の分析法として、高感度HPLC法を確立した。本法により、ヒト血清アポ蛋白への含硫アミノ酸の結合率が異なることを見いだした。今後、これらの含硫ナミノ酸結合アポ蛋白が脂質代謝酵素に及ぼす影響を検討し、脂質代謝異常の指標となるか検討する。
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