研究概要 |
1.H.heilmannii感染マウス実験モデルの解析 H.heilmannii感染マウスの胃粘膜のホモジネートをBALB/cマウスに経口摂取させることにより感染モデルを作成した。感染後8週、26週、54週、83週の時点で屠殺して、胃粘膜の組織標本を作製した。ホルマリン固定パラフィン包埋されたH.heilmannii感染BALB/cマウスの胃粘膜の病理組織学的解析、H.heilmannii、T細胞、B細胞およびMECA-79抗体を用いたHEV血管の存在の有無についての免疫染色学的解析を行った。またリンパ球ホーミングに関わる接着因子(G6ST1、LSSTおよびMAdCAM1)のmRNAの発現を検討した。H.heilmanniiは感染期間を通じて観察された。感染26週より、体部粘膜にリンパ濾胞形成及びHEVを認め、54週ではMALTリンパ腫を認めた。また、リンパ球ホーミングに関わる接着因子関連のmRNAの発現は経時的に亢進していた。H.heilmanniiがマウス胃粘膜に感染すると,粘膜固有層にHEV様血管が誘導され、胃粘膜へのリンパ球ホーミングが起こり、慢性胃炎やMALTリンパ腫が惹起されることが証明された。 2.H.heilmannii培養条件の検討 H.heilmannii培養条件の基礎的検討として、H.felis培養の至適ガス環境を検討し、1)コロニーの大きさの観点からは、O_2 12%,CO_2 10%のガス環境が、また、2)螺旋型の比率の観点からはO_2 18%,CO_2 5%のガス環境が至適条件であることを見出した。
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