研究課題
ヒト胃粘膜由来のHelicobacter heilmannii(H.heilmannii)感染BALB/cマウスの感染後8週、26週、54週、83週の胃粘膜組織を解析し、以下の結果を得た。肉眼的に感染マウスの胃粘膜には感染後26週で小結節が出現し、経時的に小結節病変は増加した。感染マウスにおいては慢性胃炎が惹起され、感染の経過に伴い炎症の増強がみられた。CD45R/B220陽性の杯中心細胞様細胞の集族とリンパ上皮性病変を認めるMALTリンパ腫が感染後54週および83週のマウスでそれぞれ11.1%(1/9)1、77.8%(7/9)に認められた。慢性胃炎やMALTリンパ腫が惹起されたマウス胃粘膜には、mucosal addressin cell adhesion molecule 1(MAdCAM-1)およびperipheral lymph node addressin(PNAd)を発現した高内皮細静脈(HEV)様血管が認められ、経時的にHEV様血管の数は増加した。誘導されたHEV様血管にはCa^<2+>の存在下にL-およびE-セレクチン・IgMキメラ蛋白が結合した。また、MAdCAM-1 mRNAとPNAdに提示されるLセレクチン結合糖鎖の合成に関与するN-acetylglucosamine-6-0-sulfotransferase-1(GlcNAc6ST-1)mRNAの発現亢進がリアルタイム定量PCR法により、感染後83週のマウスにおいて確認された。以上の結果よりMAdCAM-1とGlcNAc6ST-1により硫酸化を受けたL-セレクチンリガンド糖鎖を発現するHEV様血管がH.heilmanniiによる慢性胃炎とMALTリンパ腫の発症に重要な役割を担っていると考えられた(Helicobacter,15,538-548,2010)。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件)
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