研究課題/領域番号 |
20590566
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村手 隆 名古屋大学, 医学部, 教授 (30239537)
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研究分担者 |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
高木 明 名古屋大学, 医学部, 助教 (30135371)
鈴木 元 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80236017)
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キーワード | PLD1 transcription / 脂肪分化ならびに癌化 / 転写因子およびプロモーター領域結合部位 / セラミドキナーゼ / ATRA / 転写抑制機序 / 中性スフィンゴミエリナーゼ2 / ダウノルビシン |
研究概要 |
本年度に我々は上記研究テーマについていくつかの研究を完了し論文化を果たした。 Phospholipase Dに関するものと、スフィンゴ脂質代謝酵素(ceramide kinaseとneutral sphingomyelinase 2)に関するものとがあり、それぞれを別に記載する。 PLD1について我々は(a)PLD1が脂肪分化の初期において発現の上昇を見いだし、その発現増加機序なかでも転写調節のレベルでの解析を、マウス3T3-Y1細胞を用いてインスリン、デキサメサゾンならびにcAMP phosphodiesterase阻害剤(IBMX)で刺激する系で解析を行った。結果、細胞内cAMPのPLD1転写における重要性と初期脂肪分化に関連するC-EBP/betaが転写因子として必須であることを証明した。 (b)がん遺伝子とPLD1発現との関連の解析については、変異Ras遺伝子の導入がPLD1mRNAの発現を上昇させること、またその転写刺激過程に、転写因子Sp1が関与していることを明らかにした。この事実はがん化過程におけるPLD1の発現の機序を明らかにするばかりではなく、腫瘍化におけるPLD1の役割を説明するものである。 スフィンゴ脂質代謝酵素の解析について我々は(a)all trans retinoic acid (ATRA)でヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yを分化誘導する際に、セラミドキナーゼ(CERK) mRNAが減少すること、さらにそれが神経系の分化に重要な過程であること、さらにその転写抑制機序にはATRAにより誘導されるCOUP-TF1という抑制性の転写因子が関与することを明らかにした。ついで、(b)乳がん細胞株に抗癌剤ダウノルビシンを投与した際の細胞死で、neutral sphingomyelijnase2のmRNA, タンパク、酵素活性が増加しセラミドの増加に至る過程を明らかにしさらにその機序を解明した。
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