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2008 年度 実績報告書

S100A8/A9・サイトカイン複合体による炎症性疾患診断システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20590567
研究機関京都大学

研究代表者

池本 正生  京都大学, 医学研究科, 准教授 (80144385)

研究分担者 江川 裕人  京都大学, 医学研究科, 准教授 (40293865)
上本 伸二  京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
キーワードS100A8 / A9 / Neutrophil / Macrophage / Cytokines / Acute inflammation / Inflammatory marker / Lipopolysaccharide / Liver damage
研究概要

S100A8, S100A9及びS100A8/A9は活性化好中球及びマクロファージが産生する急性炎症反応性タンパク質である.本タンパク質を大量に入手することは極めて困難であることから,リコンビナントS100A8及びS100A9を作製し,これらを用いてS100A8/A9を化学的に合成して本タンパク質の抗炎症性タンパク質としての機能的役割について検討してきた.これまでに,本タンパク質は炎症抑制効果を発揮することを報告したが,その効果が本タンパク質の濃度依存性に発揮されるのか,また本タンパク質による炎症抑制効果に対するメカニズムについてもほとんど明らかになっていなかった.本研究によって,本タンパク質の抑制効果は本タンパク質と炎症性サイトカインが直接結合hし,複合体を形成することにより炎症性サイトカイン活性を阻害することにより,抗炎症作用を発揮する可能性を示すことができた.また,本タンパク質の濃度依存性に抗炎症作用が発揮されることを免疫組織学的に示すことができた.しかし,その機序は明らかでないことから,我々はS100A8/A9の投与後24時間における肝組織中の炎症性サイトカインに対するmRNAの発現量を検討した.その結果,炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6, IL-1β)に対するmRNAは有意に抑制されていることが明らかになった.一般に,炎症反応の情報は炎症性サイトカインに対するレセプターもしくはToll様レセプターを介して伝達され,その結果,細胞内のNF-κBが活性化され核内に移行して炎症性サイトカインに対するmRNAの発現が誘導され,炎症反応が進行する.このような背景において,S100A8/A9による抗炎症作用のメカニズムは,本タンパク質が炎症性サイトカインに直接結合(複合体の形成)することによって情報伝達が阻害される可能性が考えられる.また,本タンパク質は核内にも存在することから,何らかの機序により本タンパク質の濃度依存的に炎症性サイトカインに対するmRNAの発現を抑制することにより,炎症性サイトカインの発現を間接的に抑制し炎症反応を制御する可能性が考えられた.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Suppression of inflmmation in rat autoimmune myocarditis by S100A8/A9 through modulation of the proinflammnatory cytokine network2009

    • 著者名/発表者名
      Kaoru Otsuka, Fumio Terasaki, Masaki Ikemoto, Shuichi Fujita, Bin Tsukada, Takashi Katashima, Yumiko Kanzaki, Koichi Sohmiya, Tatsuji Kono, Haruhiro Toko, Masatoshi Fujita, Yasushi Kitaura
    • 雑誌名

      European Journal of Heart Failure Voll. 11

      ページ: 1-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 急性炎症期におけるS100A8/A9-炎症性サイトカイン複合体形成の可能性及びその機能的役割について2009

    • 著者名/発表者名
      石原佳依, 南村知代, 村山寛, 荒井智, 戸谷誠之, 池本正生
    • 雑誌名

      臨床病理 Vol. 57(in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] S100A8/A9・炎症性サイトカイン複合体の新しいバイオマーカーとしての臨床的意義について2008

    • 著者名/発表者名
      石原佳依, 南村知代, 村山寛, 戸谷誠之, 池本正生
    • 学会等名
      第48回日本臨床化学会年次学術集会
    • 発表場所
      静岡文化芸術大学
    • 年月日
      2008-08-30

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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