研究課題
本研究は、大腸癌を便中に存在するヒト由来のDNAを増幅することにより効率よく検出する方法の開発及びその効果の確認である。検出技術には、我々が開発した簡便な便中の癌由来DNAのメチル化検出法による大腸癌スクリーニング方法を用い、大規模研究により検証することを目的とする。我々は、合計296の便検体の解析を行った。尚、この296例はすべて、大腸内視鏡と上部消化管内視鏡の両方を施行され病変の確認をしいている。この296の便検体には、84例の大腸癌患者(CRC)からの、56例の大腸腺腫患者(NAAおよびAA)からの、12例の大腸過形成ポリープ患者(HP)からの、4例の虚血性大腸炎患者(IC)からの、2例の潰瘍性大腸炎(UC)からの、21例の胃癌患者(GC)からの、4例の胃十二指腸潰瘍患者(GDU)からの、そして113例の内視鏡上なんらかの新生物または活動性病変を認めなかった患者(N)からの便が含まれている。RASSF2/SFRP2のRegion1及びRegion2の増幅率(Recovery status)およびメチル化ステイタス(Methylation status)結果をFigure 5に示す。RASSF2/SFRP2のRegion1及びRegion2の増幅可能であった領域の合計をRecovery Scoreと、また、RASSF2/SFRP2のRegion1及びRegion2のメチル化の認められた領域の合計をMethylation Scoreと定義すると、Figure 5のCおよびFに認められるように、Recovery Score・Methylation Scoreともに大腸に関しては、腫瘍の進行度につれてScoreは増加することが示された。Methylation Score1以上は、胃癌の57.1%の便に、大腸癌の75.0%の便に、そして、進行大腸腺腫の44.4%の便に認められたのに対し、内視鏡上なんらかの新生物または活動性病変を認めなかった患者からの便では10.6%認めるのみであった。以上、我々の開発した便中ヒトメチル化DNA検出法は大腸癌だけでなく、胃癌をも検出可能であることを示した。この驚くべき結果は、便を調べることにより、大腸以外の消化器がん、例えば膵癌をもスクリーニングできる可能性を示した。
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