研究課題
基盤研究(C)
癌に対する治療法として放射線照射は有効であるが、時には照射によって皮膚潰瘍や腸管破裂などを引き起こす患者がいる。現在このような放射線に対して超過敏な患者を事前に診断することはできない。本研究では照射前または照射後早期にこのような患者を診断するための検査法を開発することを目的とした。対象は抗癌剤未投与で放射線照射が予定されている術後の乳癌患者とした。このような患者から放射線前後で採血し、末梢血単核細胞の放射線による影響を検討した。照射後に皮膚障害の程度を評価したが、個々の患者で大きな相違を認めなかった。残念ながら今回対象とした患者群には放射線に高感受性の患者は含まれていなかった。末梢血のリンパ球絶対数は照射によって減少したが好中球の減少はいずれの患者でも認められなかった。興味深いことにリンパ球の放射線感受性はサブセットによって異なり、Tリンパ球はBリンパ球やNKリンパ球と比較してより高い感受性を示した。Tリンパ球の中でもCD8陽性リンパ球が最も感受性が高く、照射後は急激に減少した。照射終了12週の時点で多くの細胞は前値に回復したが、CD8陽性Tリンパ球の減少は遷延した。照射によるアポトーシス細胞の増加が予測されたが、少なくとも末梢血リンパ球の解析ではアポトーシス細胞の増加を確認できなかった。照射前後においてリンパ球のp53やp14^<ARF>、p16^<INK4A>、Hzf等のアポトーシスや細胞周期に関わる分子群のmRNA発現量を比較したが有意な変動は認められなかった。残念ながらこれらの分子群とリンパ球減少の間には有意な相関性を認めなかった。
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