1.血栓性疾患における可溶性フィブリン(SF)の測定 (1)抗リン脂質抗体症候群および急性心筋梗塞(AMI)症例での測定では、血中SFおよびFM共に健常人と比較し有意な増加を示し、これらの疾患においては血栓形成の準備状態であることが確認された。 (2)特にAMIでは、発症後24時間以内の未治療症例において著しい増加を認め、心筋梗塞発症のバイオマーカーになりうる可能性を示唆した。現在、本検討結果は英文誌に投稿中である。 2.形態によるSFの分離とその意義 (1)0.2および0.45μmのフィルター処理した血漿SF値は無処理血漿の値と比べそれぞれ平均20.2%および22.9%低下していた。血中SF中には、0.45μmのフィルターで除去される高分子量のSFが約23%存在した。この変動はD dimerやFibrinogenとは異なる変動であり、SF固有の変化であった。 (2)血中におけるSFの存在様式を二次元等電点電気泳動とWestern Blottingを組み合わせて視覚的に検討中であるが、(1)の高分子FMがFibrinogenおよびSFを含むFibrin(nogen)分解産物とFMの複合体である可能性が示唆されている。
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