IMA (ischemia-modified albumin)は、体内の虚血状態において、アルブミンのN末端アミノ酸8個に変性をきたした蛋白である。アルブミンの虚血状態におけるIMAへの変性は不可逆的なため、ちょうど血糖値におけるグリコアルブミンの如く、IMAが長期における虚血マーカーとして応用できる可能性を我々は想定した。睡眠時無呼吸症候群(OSAS)では、睡眠中は動脈血中酸素濃度が低下するためIMA高値が予想され、有効性が証明されている経鼻持続陽圧呼吸(nCPAP)等の治療が奏功すれば、IMAも下がる可能性がある。そこで我々は、倫理委員会の承認と患者のインフォームド・コンセントを得た上で、OSAS患者と健常者のIMA値を治療の前後で比較した。昨年度に得られた結果では、健常人と患者でIMA値に有意差はみられなかった。しかし抗動脈硬化指標であるparaoxonase 1 (PON1)活性が、患者群で有意に低下し治療に伴い上昇することを見出した。このため平成21年度は、新たな指標としてPON1活性を測定しつつ、IMAについては測定条件の見直しを並行して行った。その結果、OSAS患者の体重を減少させることで、PON1活性が回復する事や、advanced glycation end productを減ずる効果が得られることを報告した。これらが新たな治療効果の指標となる可能性について、次年度に研究を進める予定である。
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