研究課題/領域番号 |
20590586
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
湊 宏 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10293367)
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研究分担者 |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
竹上 勉 金沢医科大学, 付置研究所, 教授 (10113490)
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学部, 准教授 (90285198)
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キーワード | 悪性中皮腫 / 癌抑制遺伝子 / ATBF1 / 細胞・組織 / 癌 |
研究概要 |
(1)悪性中皮腫培養株でのATBF1の細胞内局在について:2種の悪性中皮腫培養株でATBF-1蛋白のそれぞれ別の領域を認識するR87、D1-120、AT-6抗体を用いた免疫組織化学および免疫蛍光染色を行った。その結果中皮腫細胞ではATBF1はいずれも主に細胞質に染色された。しかし、蛍光染色では共焦点顕微鏡にて核内に少量のATBF1の発現を確認した。(2)細胞増殖阻害剤投与によるATBF1の核細胞質移行について:細胞分化誘導の試みとしてレチノイン酸(RA)、サイクロスポリンA(CyA)、12-0-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート(TPA)をそれぞれ投与し、中皮腫細胞の形態学的変化とATBF1の細胞内局在および定量を行った。細胞成長曲線ではTPAが最も細胞数が減少し、RA,CyAではコントロールよりもわずかな減少をみた。蛍光染色ではCyAでATBF1の発現に変化はみられなかったが、RAとTPAを投与した場合に核内の蛍光強度の増加を見た。AT-6抗体を用いたウエスタンブロット法で400kDを超えるATBF1蛋白の発現をそれぞれの培養株の細胞質内成分に認め、1種の培養株では核内成分にも薄いバンドを確認できた。TPA投与では400kDを超えるバンドは細胞質内で明らかに減少し、290kD以下へのバンド移行を認めた。核内には400kD強のバンドを確認できず、290kD以下のバンドを見た。TaqManプローブを用いたreal time RT-PCRを行ったところ、TPA投与後のATBF1 mRNA量は31%と減少を見たが、RA,CyAでは100%、92%であった。細胞増殖能の違いによりATBF1が細胞質あるいは核内でどのような形で存在し、機能しているかに関しては未だ明らかとなっていない。
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