研究概要 |
生活習慣病危険遺伝子の検索により幾つか険遺伝因子を見つけた。その一つ、Clusterin (Clu)遺伝子多型について報告する。 Cluはユビギタスに発現している多機能の分子で、invitroのClu過剰発現実験での膵管からのβ細胞への分化促進、STZ糖尿病ラットの膵島での発現増加、2型糖尿病(DM)での血清値の増加、等の報告が有る。 【方法】SNPs1-4:rs1532278,15322277,SNP3(TagSNP),2279591をTaqMan法にて解析。対象:山形県舟形町住民検診の2001,2002及び2005年の参加者計1631人(平均年齢:62.0±12.1)、及び、高畠町住民検診り2004及び2005年の参加者、2948人(平均年齢:63.0±10.2)。【結果】1.舟形サンプル(検索):DMとの関連解析では、SNP1-4のp値は、0.0310,0.0170,0.0051,0.940でSNPs1-3が有意。また、SNPs1-3のオッズ比は年齢、性別で補正しても、1.95,2.19,2.50と有意。HbAlc値の遺伝子型間の違いのp値は、SNPsl-4で0.0209,0.0042,0.0014,0.2927で、SNPs1-3で有意。脂質、血圧、BMI等の臨床検査値で各SNPの遺伝子型間で有意に異なるものは無かったが、インスリン値(症例数が少ない(n=565))でリスク遺伝子型に多い傾向がみられた。2.高畠サンプル(検証):上記結果の検証。SNP3はDMと有意に関連(p=0.0264)。インスリン値、HOMA-αは有意にリスク遺伝子型で高かった(SNP3:p=0.036,0.014)。【結語】Clu遺伝子多型がDMと関連することを認めた。病態との関連としてはインスリン抵抗性の増加が考えられた。
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