研究課題/領域番号 |
20590596
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塚原 照臣 信州大学, 医学部, 講師 (50377652)
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研究分担者 |
野見山 哲生 信州大学, 医学部, 教授 (70286441)
村松 宰 松本大学, 人間健康学部, 教授 (10109423)
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キーワード | フッ化スルフリル / 生物学的曝露指標 / 尿中代謝物 / くん蒸剤 / 生物学的モニタリング |
研究概要 |
本研究は、1.フッ化スルフリルの個人曝露濃度測定方法、2.尿中フッ素を曝露指標とした生物学的モニタリング方法の確立、3.フッ化スルフリルの生体影響に関する疫学調査を実施し許容曝露限界値の設定を計る、ことを目的としている。 平成22年度は、平成20、21年度に実施した疫学調査のデータの解析を行った。フッ化スルフリルの個人曝露濃度測定方法を目的に、データ解析において拡散型捕集法のパッシブガスチューブの拡散係数を求めた。さらにその係数を用い、過去の疫学調査において求めていたパッシブサンプラーのフッ化スルフリル捕集量より個人曝露濃度を算出し、その値をデータ解析に用いた。作業者10名(4作業場)の時間加重平均個人曝露濃度は検出限界以下から1.06ppmであり、ACGIHのTLV-TWA5ppmを大きく下回る濃度であった。 尿中フッ素濃度を曝露指標とした生物学的モニタリング方法の確立を目的に、非曝露者の尿中フッ素濃度を測定した。非曝露者の尿中フッ素濃度については、フッ素化合物を使用していない工場の作業者の早朝尿を用い、尿中フッ素濃度を求め、曝露作業者との比較を行った。非曝露者(38名)の尿中フッ素濃度は0.47±0.35(0.04-1.61)μg/ml(算術平均±標準偏差(最少記最大))であり、曝露作業者(10名)の作業中平均尿中フッ素濃度2.03±1.48(0.64-5.11)よりも有意に低い結果であった(p<0.01)。また、フッ化スルフリルの生体影響については、曝露作業者10名(10名の調査期間平均曝露濃度0.47±0.40ppm)を曝露濃度0.48以上の高曝露群5名と曝露濃度0.47ppm以下の低曝露群5名に分け、作業後の呼吸機能検査項目と血液生化学検査項目について2群の平均の差の検定を行った。高濃度曝露事故事例では肺水腫や低カルシウム血症の所見が報告されている。肺機能やイオンチャネルへの影響が考えられるが、両群の肺活量や1秒率等の肺機能検査、血中Caイオン濃度、Kイオン濃度、Clイオン濃度等の血液生化学検査に有意な差は認められなかった。
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