研究概要 |
本年度は、常染色体優性家系を用いた連鎖解析によって17q25.3に連鎖することを証明し、Positional cloningによりRaptor遺伝子上に存在する新規SNP(ss161110142)のマイナーアリルが家族性Moyamoya病に共通することを明らかにした(EHPM, 2009)。 日本国内において、Moyamoya病患者におけるss161110142マイナーアリルは相関研究により極めて高い相関が認められた(アリル頻度の検定:患者26%、対照1%,odds比51.5、 P=2.08x10^<-29>)。同様に、韓国、中国においてもss161110142マイナーアリルの高い頻度での相関が認められた(韓国 患者33%、対象1%、オッズ比84.09、P=9.42×10^<-22>;中国 患者4%、対象0%、オッズ比NA、P=3.37×10^-2)。対してヨーロッパではss161110142マイナーアリルは患者群でも対照群でも認められなかった。ss161110142が東アジアにおけるMoyamoya病感受性遺伝子であることが示唆された。さらに欧米と比較したアジアにおけるMoyamoya病の有病率の高さにss161110142の分布の違いが関与する可能性が示された。 家系の分析では、Moyamoya病のみならず、片側Moyamoya病や内頚動脈終末部狭窄・閉塞の患者もこのリスクアリルを有しており、一連の狭窄病変についても関与が推定される。さらに浸透率が低いことから、遺伝子以外の関与についても想定される。
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