研究課題/領域番号 |
20590603
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
有澤 孝吉 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30203384)
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研究分担者 |
上村 浩一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50346590)
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キーワード | カドミウム / DNAマイクロアレイ / メタ分析 / 死亡率 / RT-PCR |
研究概要 |
1.カドミウム汚染地域住民の死亡率に関するメタアナリシス 対馬、石川、富山の3地域のデータを用いたこれまでの結果をまとめると、腎障害あり群における全死因の標準化死亡比(meta-SMR)は、女性のみで有意に上昇し、腎障害なし群のmeta-SMRは男女とも有意に低下していた。一方、腎障害あり群の腎障害なし群に対する統合ハザード比は男女とも1より有意に高かった。男性の腎障害あり群のmeta-SMRが高くなかったのは、富山県における低いSMRのためであった。この理由として、富山県の調査では感度・特異度が低い尿中総蛋白が腎障害の指標として用いられていることが考えられ、尿中低分子量蛋白を用いた再評価が待たれる。死因別の解析では、男女をあわせた腎障害あり群のがん死亡のmeta-SMRに有意な上昇はみられなかった。一方、女性のみにおいて、腎障害あり群の腎障害なし群に対するがん死亡の統合ハザード比は1.72と有意に上昇していた。ベルギー、米国、スウエーデンの低濃度汚染地域または一般集団における調査では、尿中カドミウム濃度とがん死亡との関連が報告されているが、尿中濃度は日本の非汚染地域に比べても低い値であり、同列に論じることは不可能と考えられた。 2.環境カドミウム曝露により引き起こされる遺伝子発現変化の解析 平成22年12月に、秋田県大館市周辺のカドミウム汚染地域に居住し、血液中カドミウムまたは尿中β2-microglobulinが高い高齢女性8人(平均年齢77.9歳)について疫学調査を行い、血液、尿、末梢血RNAサンプルを採取した。血液中カドミウム濃度の平均値は7.4μg/l、尿中カドミウム濃度の平均値は8.6μg/lと高かった。高血圧の既往有りまたは治療中が5人であった他は大きな健康上の問題は認められなかった。共同研究者の協力を得て酸化ストレスマーカー8-OHdGの測定は終了した。年齢をマッチさせた高齢の対照群の調査が難しく、対照についての調査はまだ終了していないのが課題である。
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