研究課題/領域番号 |
20590604
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
原田 幸一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (00094029)
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研究分担者 |
魏 長年 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (00363523)
皆本 景子 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (00381012)
上田 厚 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 名誉教授 (10040198)
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キーワード | い草染土 / 珪藻土 / じん肺 / 発症メカニズム / 感作性 / 疫学調査 / 粉じん環境調査 / 倫理委員会 |
研究概要 |
本研究の遂行にあたり、い草栽培やい草製織作業に従事する作業者の健康の修飾因子として、い草染土以外に「日焼け止め」や「植物成分」による健康影響の解明が必要であることから、guinea-pig maximization test (GPMT)やlocal lymph-node assay (LLNA)法による感作性誘発実験をおこなった。その結果、ミョウガ成分(LLNA法)や、日焼け止め(GPMT法)により感作性を実験動物に確認することができ、修飾因子となることがわかった。つぎに、熊本大学大学院生命科学研究部疫学研究倫理委員会より、我々が作成した「粉じん作業環境調査」に対して疫学研究の許可を受けた。本調査票を用い、熊本県八代地方のい草栽培地域ならびに畳表製織作業場、い業研究所(熊本県)そして、い草栽培農家等へおもむき、作業環境調査並びに作業調査等をおこなった。調査は、対象者の選定から、作為抽出をおこない、質的研究手法を参考にした。その結果、い草製織作業にかかわる健康影響や自覚症の発症の証拠をみることはできなかった。一方で、地域環境にたい積してきた染土の環境影響については、検討されておらず、今後の検討課題となることがわかった。本調査で、注目すべきことは、い草染土を使用しない、い草製織をおこなう作業所があり、い草染土粉じん対策としては、有効な形態であることがわかった。一方で、珪藻土壁塗り工事現場へおもむき同様の調査をおこなった。珪藻土粉じんが飛散するのは、懸濁容器に珪藻土を投入するとき、飛散する程度であり、塗り込まれた珪藻土が、壁から剥離・飛散することはなかった。得られた疫学調査結果や実験研究で得られた情報を、作業者集団等へ還元するとともに、快適作業環境の形成について提言することが今後とも課題であることを認識した。
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