研究概要 |
ハウスミョウガ栽培者のアレルギー性接触皮膚炎3例および接触蕁麻疹1例の原因物質と機序の検索を試みた。ミョウガ成分中の揮発性物質4種(α-pinene,β-pinene,limonene,limonene oxide)についてGPMr (Guinea pig maximization test)とLLNA (Local lymphnode assay)で抗原性を評価し、発表した。また、アレルギー性接触皮膚炎3症例のうち1例にカラムクロマトグラフィで分けた分画の一部を精製した物質に陽性であったので、その物質の分析、構造式の決定を試みたが、確定にはいたらなかった。接触蕁麻疹の症例の病態の解明においては、本症例はプリックテストで陽性で、さらに急性の湿疹病変を認めたのでprotein contact dermatitisを疑ったが、9名の正常コントロール者中4例がミョウガ(as is)で+あるいは++であったので、非免疫学的機序による可能性が高い。湿疹病変は、併発した強いニッケルアレルギーの関与を疑っているが、未だ確かに証明できていないので継続して検索を行っていく。 また、ドイツの優れた職業性接触皮膚炎(OCD : Occupational contact dermatitis)の症例集積と、治療および予防対策の一連のシステムを学ぶため、ドイツに4ヶ所ある3次予防センターの1ヶ所(ハイデルベルグ)を訪れた。皮膚科医と産業医が、システムの担い手として組み込まれていて、症例集積はOCDの7割を占めるとされる刺激性接触皮膚炎も含めて行われ、本邦の現状と大きく異なることを学んだ。さらにOCDが職業病として保障される疾患として一般的に認知されていることによって、医学的根拠に基づいて多くの予防対策がとられていることも、大きな違いであった。 本研究のもっとも主たる目的であった職業関連アレルギーの症例集を作成した。
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