研究概要 |
アルジニン低下に関する研究を行った 腹腔内の炎症が強いほど、自己抗体の抗体価は高く、さらに炎症が強いほど血中アルジニンが特異的に低下するということが昨年までの研究でわかった。そこで、炎症が強いとアルジニンだけが特異的に低下するのかについて今年度は研究した。まずアルジニンが生体内で分解されるため濃度が低下するのではないかと考えて、アルジニンの代謝経路に注目し、代謝に関係する酵素活性について検討した。プリステン投与マウスを使用して、腹腔細胞からマクロファージ細胞を分離し、RT-PCR法にてCAT1,CAT2,Arginasel,Arginase2,iNOS活性を測定した。CATはアルジニンの運搬に関係し、ArginaseとiNOSはアルジニンの代謝に関係した酵素である。測定の結果、これらすべてがコントロールよりもmRNAが増加し、酵素活性が亢進していることが判明した。従って、これらのことから鉱物油を腹腔内に投与すると、非特異的炎症が腹腔内に発生する、その後アルジニン代謝経路に関係する酵素活性が上昇する。その結果、アルジニンが低下し、T細胞中のCD3ζの発現も低下することまで分かった。さらに、CD3ζの低下がT細胞中のシグナルパスウエーに影響して、特異的抗体(SLEに特異的な抗体)が誘導されるのではないかと考えているが、CD3ζの低下が特異的抗体を誘導するところに論理の飛躍が残っており、次年度はこの点を中心に研究を進める予定である。
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