研究概要 |
今年度の研究業績は、主に次の4点である。 (1)日本のインフルエンザ月別発生率データの包括的な時系列解析結果をまとめた論文が、学術誌に掲載された(A.Sumi,K.Kamo,N.Ohtomo et al.,J.Epidemiol,2011;21:21-29)。本論文では、セグメント解析法を用いて、インフルエンザの流行変動の周期構造が1957年と1968年の新型インフルエンザの出現時に変化することを定量的に明らかにした。 (2)上述の(1)で述べたセグメント解析法を中国・武漢の麻疹月別発生率データに適用した結果が、学術誌に掲載された(T.Luo,A.Sumi,D.Zhou et al.,Epidemiol.Infect.,2011;139:257-264)。本論文では、麻疹の周期構造が、ワクチン導入やコールド・チェーンの設置などの各対策によって変化することを定量的に明らかにした。 (3)インド・コルカタで収集されたコレラ月別発生率データおよび気象データ(気温、湿度、雨量)の相互相関を説明する数理モデルを構築した。得られた結果が学術誌に掲載された(K.Rajendran,A.Sumi,M.K.Bhattachariya et al.,Indian J.Med.Res.,2011;133:138-145)。本論文では、インフルエンザの流行変動と気象変動との相関を調べるための、多くの知見が得られた。 (4)日本のインフルエンザ月別発生率データ(1948~1988)の予測解析の結果を、現在、学術誌に投稿中であり、査読者からの3回目のコメントに回答中である。本論文では、インフルエンザの流行変動の予測値を定量的に示した。
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