研究概要 |
我が国においては、これまで睡眠保健指導に関する介入研究はほとんど実施されておらず、海外の研究においても睡眠衛生教育の効果を詳細に検討した無作為化比較研究はほとんど存在しない。本研究にでは、眠保健指導が労働者の心身の健康やQOLに与える効果について調べることを目的として、3つの事業場で勤務する労働者を対象に、睡眠に関する個人保健指導を介入内容とする無作為割付比較試験を行った。倫理的配慮から対照群に対しても解析終了後に同様の個人保健指導を実施した。本研究においては、自記式質問票調査だけでなく、夜間時の体動や自律神経のモニタリング(腕時計型生体センサ(東芝製)を使用)も用いて睡眠状況の評価や効果を客観的に検証していることが特徴である。各事業場において、睡眠中の自律神経のモニタリングの結果及び睡眠に関する行動調査票をもとに、産業看護職及び産業医が個別の睡眠保健指導を行った。産業保健スタッフに対しては保健指導用マニュアルをもとに事前の教育を実施した。保健指導は、睡眠衛生教育、睡眠時間制限法、刺激低減法などの行動療法、リラクゼーション、不眠のための認知療法が含まれた。結果については現在集計解析中であるが、もう少し解析対象が増え統計学的パワーが増すことで、個人保健指導介入群、対照群の2群間で抑うつ、全般的健康度、昼間の眠気において、2群間で有意なeffect sizeが認められる可能性が高い.夜間睡眠時のLE,HF、LF/HF、睡眠潜時、睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒回数等の睡眠パラメータにおける比較については現在解析中である。
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