研究概要 |
【はじめに】MetS発症には,インスリン抵抗性が肥満とならんで重要な要因と考えられる.特に疲労が蓄積・持ち越されやすい男性社員で,交替制勤務者のMetSリスク評価を行った. 【対象と方法】自動車製造企業男性杜員のうち,明らかな睡眠障害で治療中の者を除く50歳代を対象とした.法定健診項目以外に血清インスリン(EIA法)を測定した.併せて,睡眠や交代勤務状況を含む生活習慣問診票を用いた.交替制勤務者の一部には,アクチウォッチを装着し睡眠状況を観察した. 【結果およびまとめ】50〜60歳男性は1037名で,平常日勤572名,2交替勤務387名,3交代勤務61名,その他14名であった(欠損3名).問診票による睡眠時間は,6時間以上461名,5〜6時間425名,4〜5時間137名,4時間未満10名であった(欠損4名).勤務状況別MetS割合は,平常日勤23.1%(132/572),2交替勤務19.9%(77/387),3交代勤務24.6%(15/61)であった,また,勤務状況別にみた睡眠で休養が取れない割合は,平常日勤33.1%(187/565),2交替勤務49.2%(185/376),3交代勤務51.7%(31/60)であり,2交替または3交替勤務者は日勤者よりも睡眠問題を訴える割合が有意に高かった.一方,勤務状況別にみた血清インスリン幾何平均(幾何標準偏差)は,平常日勤6.1(1.8)uIU/mL,2交替勤務5.2(1.7)uIU/mL,3交代勤務6.4(1.9)uIU/mLで,2交替勤務者のインスリン値は他の2群よりも有意に低かった.さらに,3交替勤務者14名について,アクチウォッチ(ITC社製)による睡眠時間平均値(標準偏差)を測定した結果,平常日勤433.0(53.4)分,2直410.6(75.1)分,3直375.1(92.0)分であった(統計的有意差なし).
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