研究概要 |
本年度は以下の点について実験室および作業環境での手法の検証を行った。 1)炭素系ナノ粒子の元素状炭素の同定 EC/OCモニターを用い元素状炭素(EC)の分析手法であるDRI法を基に、炭素系ナノ粒子を分析し、その定性、分別定量の可能性について検討した。ECの種類や状態によって、サーモグラムのパターンが異なるので、作業環境中に存在するバックグラウンド粒子とMWCNT,SWCNT,フラーレンなどの炭素系ナノ粒子を分離・定量した。 2)作業環境における炭素系ナノ材料の計測 炭素系ナノ材料の製造工場の作業環境中のナノ粒子の計測を交渉したが、会社側から測定データの公表の同意を得ることが困難で、断念した。代案として実験室内でMWCNTなどの炭素系ナノ粒子を気中に分散し、5段で粒径別に粒子が捕集できる個人サンプラー(シウタスカスケードインパクタ)を用いて捕集し、EC/OCモニターにより分析した。これにより、サンプリング条件、分析条件や測定下限濃度について検討した。またサンプラーに捕集されたMWCNT粒子の電子顕微鏡観察から塊状の粒子とよく分散した繊維状の粒子がサンプラーの各段で観察され、MWCNT製造工場の環境粒子を再現していることが確かめられた。 また鉄などの金属イオンによりCNTの燃焼が促進され、サーモグラムが異なることがわかったので、EC/OCモニターのよる分析に影響のある金属について検討した。
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