研究概要 |
看護職の交代勤務に関連する睡眠障害は, 勤務中の眠気や精神作業能率の低下を来たし, ヒューマンエラーを誘発し医療の安全を脅かす要因となっている。本研究の目的は, 「眠気セルフチェック票」を開発し確立することで眠気を知覚・認識し, ヒューマンエラー防止の有効性を疫学研究で検証することである。平成19年度に, 眠気セルフチェック票として日本語版Epworth sleepiness scale(JESS), Stanford sleepiness scale(SSS), 活動量測定はAcitiwatch(AW-L mini-Miter Co.USA)で睡眠日誌を併用した調査を実施した。 平成20年度はデータの解析・分析を行い, 眠気セルフチェック票の妥当性を検証した。その結果,JESSの合計得点の平均値は10.4±3.6点であり, 交代勤務が非交代勤務より有意に高かった(p<0.05)。JESSの合計得点の11点をカットオフ値とした日中の過度な眠気(EDS)の有症者は50%と高頻度にみられた。またSSSの結果は勤務開始から4時間後までは集中力が保たれているが, 時間の経過とともに眠気が増していた。結論として交代勤務の看護職の勤務中の眠気を測定するには, JESSが最も妥当な尺度であると考えられた。その理由として, JESSは対象者固有の眠気レベルを安定的に特性として把握できることと, 実用的であることなどによる。一方, Acitiwatchは眠気の検出力が低いため適さず, SSSはその時点における眠気であり実用性に乏しい。 以上の結果より, 平成21年度は検証された眠気セルフチェック票を用いて, 交代勤務の看護職を対象に大規模な横断調査を実施して, 本研究の目的を果たす予定である。
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