研究概要 |
今回の研究は、多目的コホート研究(JPHC Study)においてベースライン時(コホートIは1990年、コホートIIは1993年)に採取・保存されている血液を用いて、その後に発症した脳卒中、心筋梗塞と血中ω3系多価不飽和脂肪酸との関連を、コホート内症例・対照研究の手法により検討しようとするものである。研究期間内に診療録により発症が確定された脳卒中・心筋梗塞患者でベースライン時に質問票への回答および血液の提供のある者およそ600名と、性別・年齢などをマッチングさせたその対照およそ700名の合計およそ1,300名分の分析を行った。 測定用検体は-80度の状態で、研究分担者である岩崎基研究員(がんセンター臨床疫学研究部、実務責任者)から富山大学和漢医薬学総合研究所へ送られた。まずは血漿から総脂質が抽出され、薄層クロマトにて総リン脂質を分離し、脂肪酸のメチル化後、ガスクロマト法にて脂肪酸分析を行った。分析中、特に大きな問題は起こっていないが、サンプル中に交絡因子として使用する予定の中性脂肪のデータがないものが23%、HDLコレステロールのータがないものが21%あったため、現在、これらのサンプルの中性脂肪およびHDLコレステロールを測定しているところである。 また、上記の症例は2002年までの追跡において発症した症例であるが、心筋梗塞および脳卒中の病型別の検討および交絡要因による層別解析において高い統計的検出力を得るために、2008年5月末まで追跡期間を拡大し、症例(脳卒中・心筋梗塞およそ700名)および対照(およそ700名)のサンプルを更に追加した。
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