研究概要 |
日本での大型疫学調査では、魚食あるいはn-3系脂肪酸の摂取量と循環器疾患の発症率(あるいは死亡率)はいくつか報告されているが、必ずしも結果は一致していない。そこで、食事調査よりも組織中の脂肪酸をより正確に推定できる血中脂肪酸構成と循環器疾患による死亡率との関係を調べることとした。全国10カ所の保健所管内の住民約14万人のうち、研究開始時に生活習慣質問票への回答および血液の提供のある者の中から、冠動脈疾患死あるいは脳卒中死の症例とそれぞれの対照(計およそ1, 500検体)を選び調査対象とした。血清の総リン脂質中の脂肪酸構成はガスクロマトグラフで測定した。冠動脈疾患死群(n=209)と対照群(n=418)を比較すると、脂肪酸構成には差がなかった。男女合わせると脂肪酸は冠動脈疾患死に大きな影響を及ぼす可能性は少ないと思われる。
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