研究課題/領域番号 |
20590640
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
大庭 志野 国立保健医療科学院, 研究情報センター, 室長 (70397321)
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研究分担者 |
永田 知里 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30283295)
山本 眞由美 岐阜大学, 大学院・連合創薬医療情報研究科, 教授 (40313879)
鈴木 英司 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (30196795)
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キーワード | 糖尿病 / 喫煙 / 受動喫煙 / 耐糖能異常 / インスリン抵抗 / ベータ細胞機能 / 横断研究 |
研究概要 |
能動喫煙及び受動喫煙の状況は質問票の記載内容より、現喫煙、過去喫煙、非喫煙者に分類した。さらに女性は配偶者が喫煙する非喫煙と配偶者が喫煙しない非喫煙者とに分け、前者を受動喫煙有、後者を受動喫煙無とした。男性においては、喫煙女性を配偶者に持つ非喫煙者は5名のみであったためこのような分類は行わなかった。男性では喫煙者が100名以上という比較的多い人数であったため、1日あたりの喫煙量や喫煙期間、さらにこれらよりpack-yearを算出して能動喫煙の度合いの影響をより詳細に検討することとした。糖代謝能の指標として、WHOの診断基準に基づいた空腹時及び糖負荷後血糖値から求めた糖尿病およびIGTの判定を行い、さらにインスリン抵抗及びインスリン分泌能の指標であるHOMA-Indexと、糖負荷時の初期のβ細胞機能の指標である。insulinogenic indexを用いて検討を行った。 男女において能動喫煙、受動喫煙ともに糖尿病に係る指標のうちに関連がみられるものがあった。男性においては喫煙量の多い群において糖尿病を持つ傾向の高まりがみられ、またβ細胞機能の低下の傾向があることが示唆された。女性においては喫煙者及び喫煙者を配偶者に持つ非喫煙者においてIGTを持つ傾向が示唆され、またβ細胞機能の低下の傾向があることが示唆された。 これまで能動喫煙と糖尿病のリスクの関連については多くの研究が為されており、その関連は示唆されているが、インスリン抵抗やインスリン分泌能のような指標を用いてその過程との関連を明らかにしようとした研究は多くなされていない。受動喫煙と糖尿病の指標の関連についてはこれまで充分に検討されておらず、本研究から得られた知見はこの分野に新たな情報を提供することとなろう。また本邦においてはインスリン分泌能の低下による糖尿病の発症が多くみられることが既存研究において示唆されており、本研究結果をもとに今後この分野の研究に更なる発展があることを期待する。
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