我が国において、出生時体重と成人期の糖尿病との関連は未だ報告されておらず、平成21年度は同分析を行った。35-66歳成人男女3054名(男性2286名、女性768名)を対象に、自己申告より得られた出生時体重を2500g未満、2500g以上3000g未満、3000g以上3500g未満、3500g以上の4つのカテゴリーに分類した。高血糖の定義を空腹時血糖110mg/dl以上かつ糖尿病の既往歴ありとすると、出生時体重のカテゴリー順に高血糖者の割合は18.3%、15.9%、12.8%、10.0%と出生時体重が少ないほど高血糖者の割合が高かった。さらに、高血糖を従属変数、出世時体重を独立変数とし、性(男、女)、年齢(連続変数)、喫煙状況(現在喫煙の有無)、飲酒状況(週あたりの飲酒日数)、運動習慣(1週間に1度以上の運動習慣の有無)、Body mass index(連続変数)、父親の糖尿病歴(有無)、母親の糖尿病歴(有無)を調整した上で、3500g以上の群を基準とした2500g未満、2500g以上3000g未満、3000g以上3500g未満の各群にオッズ比をロジスティック回帰分析を用いて算出した。オッズ比(95%信頼区間)を順に示すと、2.03(1.16-3.57)、1.50(0.96-2.35)、1.33(0.84-2.10)、1(基準)となり、糖尿病と関連すると考えられる要因で調整しても、出生時体重と高血糖者の割合は負の関連がみられた。(傾向性p=0.01)今後はさらに両者に関連が飲酒、喫煙等の習慣によって異なるか否かについて検討する。
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