研究課題/領域番号 |
20590642
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
若井 建志 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50270989)
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研究分担者 |
内藤 真理子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10378010)
川村 孝 京都大学, 保健管理センター, 教授 (10252230)
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キーワード | 口腔状態 / 歯牙喪失 / コホート研究 / 虚血性心疾患 / 脳卒中 / 肺炎 / 大腿骨頚部骨折 / 糖尿病 |
研究概要 |
本年度は2つのコホート研究について、下記の検討、調査を実施した。 1、歯科医師を対象としたコホート研究 自記式調査票にて口腔状態を把握でき、歯科医師会を通じた追跡調査が可能な歯科医師を対象としたコホート研究である。本年度は2009年6月までの追跡調査を行い、歯牙喪失と死亡および疾病罹患リスクとの関連の解析を実施した。今回の分析対象は21,151名(ベースライン時平均年齢±標準偏差52.3±12.2歳、女性8.0%)、平均追跡期間は5.2年間である。歯牙喪失と死亡リスクとの関連の解析では、666名の死亡が同定された。喪失歯数(智歯除く、以下同じ)が0-4本を1とした、5-9、10-14、15-19、20-28本のグループの死亡ハザード比は、それぞれ1.05、1.28、1.47、1.35であり、喪失歯数が増加するほど死亡リスクが上昇する傾向が認められた(trend P=0.007)。また歯牙喪失と脳卒中・虚血性心疾患・がん罹患との関連については、追跡期間中に脳卒中188名、虚血性心疾患131名、がん542名の罹患が確認されたが、喪失歯数とこれら疾患の罹患リスクとの間に有意な関連はみられなかった。さらに追跡期間中に肺炎死亡29例、大腿骨頚部骨折罹患22例が確認され、肺炎死亡、大腿骨頚部骨折罹患リスクは喪失歯数が多い場合に有意に高かった。喪失歯数0-14本を基準とすると、全歯喪失の場合のハザード比は肺炎死亡が4.27、大腿骨頚部骨折が6.14であった。なお本年度は、当初予定の追跡期間延長に向けた倫理手続き(辞退の機会の保証)を行い、当初2008年度末までの追跡調査期間をさらに延長することができた。 2、高齢者を対象としたコホート研究 本年度は平成15年、65歳時にベースライン調査に参加した研究参加者(1市に在住)のうち同意が得られた者について、70~71歳時の追跡調査(調査票調査、血圧、血液生化学などの検査)を実施し、高血圧症、糖尿病、脂質異常症の新規発生を把握した。
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