研究概要 |
本研究は、動脈硬化への食事習慣、特に魚介類に特異的に含まれる長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸(LCn-3PUFA)の関連に男女差があるかを、日本人とハワイ在住日系米国人の一般集団の対象とした栄養疫学研究(INTERLIPID研究)より明らかにすることを目的としている。今年度は食事性の脂質の質の変更が血清LDLコレステロール値に与える影響を検討するために、工場従業員男女(男性19名、女性6名)を対象として、高LDL血症改善を目的とした3カ月間の保健指導のデータを用いて、保健指導と血清脂肪酸の関連について検討した。保健指導では特に減量の指導は行わず、飽和脂肪酸の摂取を控え多価不飽和脂肪酸の摂取を多くする食事指導を行った。脂肪酸構成においてコレステロール値の上がり安さの指標であるP/S比の変化を血清脂肪酸組成価よりみると、男性では指導の前後で1.22から1.18にやや低下したが、女性では1.22から1.33に増加した。このときの血清脂質の変化は、LDLコレステロール値は男性-4.5mg/dl,女性-16.0mg/dl,HDLコレステロール値は男性+1.5mg/dl,女性-1.2mg/dl,中性脂肪値は男性-26.0mg/dl,女性-11.8mg/dlであり、食餌性脂肪酸摂取の変化に伴う血清脂肪酸組成の変化に対する、血清脂質の変化が男女で異なる可能性が示された。今後、INTERLIPID研究の、ハワイ在住米国人と日本人の血液サンプルより測定した脂肪酸測定データを用いて、脂肪酸摂取、血液中組成、血清脂質のそれぞれの関連について検討する。
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