研究課題/領域番号 |
20590644
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
本庄 かおり 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (60448032)
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研究分担者 |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
澤 俊二 藤田保健衛生大学, 医療科部, 教授 (80274976)
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キーワード | 成人保健 / 社会疫学 / 高齢者 / 身体機能障害 / 社会階層 |
研究概要 |
【目的】 本研究は日本社会において高齢者身体機能障害発症に社会階層間で格差が存在するのか、ならびに、その格差の機序について分析することを目的とし、以下の仮説を検討する。(1)脳血管疾患発症における社会階層間格差に関する前向きコホート研究(研究1-仮説1)、(2)身体機能障害における社会階層間格差に関する横断疫学研究(研究1-仮説2)、(3)脳血管疾患発症後の予後における社会階層間格差に関する前向きコホート研究(研究2) 【本年度の研究実績】 21年度は、身体機能障害における社会階層間格差に関する横断疫学研究(研究1-仮説2)を実施した。既存の厚生労働章多目的コホート(JPHC : Japan Public Health Center-based Cohort Study)コホート1(地域住民50~69歳男女29,134人)を対象に、多項式ロジスティック回帰モデルを用いて検証し、以下の結果が得られた。 (1)身体機能障害(屋内生活要介護)有病率と教育歴の関連が示された。身体機能障害(屋内生活要介護)有病率は、大学・専門学校卒業群と比較して、中学卒業群(4.84倍)、高校卒業群(2.21倍)はいずれも高かった。(2)中学卒業群の身体機能障害(外出時要介護)有病率は大学・専門学校卒業群と比較して、2.35倍であった。(3)教育歴と身体機能障害の関連は脳卒中の既往の有無に関係なくみとめられた。(4)男性は脳血管疾患既往の有無にかかわらず教育歴と身体機能障害の有病率との関連がみられたが、女性では脳血管疾患既往者において明らかな差はみられなかった。本研究結果より、日本においても、欧米と同様に、教育歴という社会経済的な格差を表す1つの指標によって、高齢者の身体機能障害の有病率に格差が存在することが示された。 次年度には脳血管疾患発症後の予後と教育歴の関連についての分析を実施する予定である。
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