研究課題/領域番号 |
20590644
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
本庄 かおり 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (60448032)
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研究分担者 |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
澤 俊二 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (80274976)
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キーワード | 成人保健 / 社会疫学 / 高齢者 / 身体機能障害 / 社会階層 |
研究概要 |
【目的】 本研究は、日本社会において高齢者身体障害発症に社会階層間で格差が存在するのかとその機序について分析することを目的とした。 【本年度の実績】 平成22年度は、日本の高齢者における身体機能障害の社会階層間格差の検証とその発生メカニズムの解明を目的とし、脳血管障害疾患発症後の身体機能回復に社会階層間で差があるのかについてリハビリ病院の入院患者を対象とした前向きコホートデータを分析した。 方法と結果 対象コホートは平成11年9月から平成12年11月までに入院し、平成13年3月までに退院した脳血管障害者のうち、初発、20歳以上、入院時片麻痺を有し、意思の疎通が可能で、在宅調査が可能であるもの105名を対象とし追跡している。本研究では、教育歴の情報を持たないもの(10名)を除外し、退院時から発症後1年にかけての身体機能の回復度が教育歴により異なるかについて検討した。主な独立変数である社会階層は教育歴(小学校/中学卒業vs高校以上)とした。主な従属変数は脳卒中機能障害総合評価とADL評価とし、それぞれStroke Impaiment Assessment Set (SIAS)、Functional Independence Measure (FIM)を用いて測定した。 退院時調査対象者95人(男性69人女性26人)のうち、小学校/中学卒業群は30人(32%)であった。低教育歴群では高年齢ならびに女性が多い傾向が見られた。また、小学校/中学卒業群は高校卒業群と比較して、ソーシャルネットワークが小さい傾向が認められたが統計的に有意ではなかった。退院時のSIAS/FIMの値は教育歴で異なっており、概ね、小学校/中学卒業群は高校卒業群と比較して低いSIAS/FIMの値を示した。退院時から発症1年後の脳卒中機能障害の回復に関しては、高校卒業群は小学校/中学卒業群と比較して、より強い回復傾向がみられるものの統計的に有意な関連はみとめられなかった。
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