研究課題/領域番号 |
20590647
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
斉藤 功 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90253781)
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研究分担者 |
内藤 義彦 武庫川女子大学, 生活環境部, 教授 (90388801)
森脇 千夏 別府大学, 食物栄養科学部, 准教授 (90280289)
原田 亜紀子 千葉県衛生研究所, 健康疫学室, 研究員 (00451774)
谷川 武 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80227214)
櫻井 進 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50375515)
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キーワード | 自律神経系機能 / 耐糖能異常 / 疫学研究 / 循環器疾患 / 心拍変動 |
研究概要 |
近年、欧米の研究を中心に循環器疾患や糖尿病の発症機序として自律神経系機能の影響が注目されている。わが国においても安静時心拍数が死亡のリスクになることが確認されており、この両者には自律神経系機能の関わりが推察された。そこで、本研究は地域一般住民を対象に自律神経系機能と耐糖能異常との関連について検討することを目的として実施した。本年度は愛媛県T市において糖尿病治療中を除く439人(男性126人、女性313人、平均年齢63.1歳)に対し、自律神経系機能評価と75gぶどう糖負荷試験による耐糖能異常についての評価を行い、様々な交絡要因を含めた関連について分析を行った。なお、本研究計画は愛媛大学の医の倫理委員会の承認を受けて実施している。自律神経系機能評価は、TAS-9を用い、しばらくの安静の後、座位にて5分間示指から脈波を解析し、時間領域分析とスペクトラム解析による周波数領域分析を行った。性年齢調整後の相関分析の結果、SDNN、並びにHRV indexと空腹時血糖値、負荷後1時間血糖値との間に有意な負の関連を認めた(偏相関係数=-0.10~-0.15)。周波数領域分析の指標であるLF/HF等との関連は認めなかった。また、安静時の心拍数は空腹時インスリン値、負荷後1時間インスリン値と有意な正の相関を認めた。肥満の有無で層別化したところ、非肥満群でこれらの関連がやや強く認められた。これまでの報告からSDNN、HRV indexの低下は循環器疾患発症リスクになるが、日本人の集団においても、これらの指標が空腹時血糖や負荷後1時間血糖値の上昇に関与していることが示唆された。今後、調査対象者数を増やし、社会環境要因を含めた分析が必要である。
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