研究概要 |
本研究は,介護職員が利用者に対して個別に提供した介護時間を測定することによって,ユニット型と従来型介護保険施設の介護サービス種別ごとの実態把握及び介護保険施設の介護サービスの特徴を明らかにした.調査対象は,ユニット型介護保険施設3施設の介護職員86人と,従来型介護保険施設3施設の介護職員107人である.分析方法は,ユニット型と従来型介護保険施設の介護職員から個別の介護支給時間と介護サービス内容をMann-Whitney検定で比較分析した. 本研究では,ユニット型と従来型施設では,平均介護支給時間はユニット型施設の方が全体として84.3分より長かった.ユニット型と従来型施設の介護サービス内容ごとの比較において「食事」,「入浴清潔保持整容更衣」,「排泄」,「生活自立支援」の4項目で有意な差が認められた.ユニット型施設では,食事や入浴等の介護サ門ビス内容について,入所者の生活リズムに寄り添った介護が行われていることが推測された.排泄でも,個人の排泄リズムに合わぜた介護サービスが提供されていることが考えられた.コミュニケーション量の増加は,生活自立支援として個別介護を認める結果となった. 今後の課題として,本研究では,ケアコードの利用のため,環境因子や個人因子について検討することが困難であった.ユニット型施設において個別介護が進展される一因は,環境因子と個人因子が影響している可能性も考えられる.環境因子と個人因子の重要性は,国際生活機能分類(ICF)でも指摘されており,環境因子と個人因子も加えた検討が求められる.本研究は,介護時間の量的調査で個別介護の検証を行ったが,今後は,介護職員の介護方法について質的調査も合わせて検討することで,介護保険施設における介護サービスの標準化と専門性が明らかになると考える.
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