研究概要 |
本研究の目的は平成14年から開始された健診受診者26,469人を対象とした前向きコホート研究のデータを用いて、健診所見と生活習慣の医療費予測性について検討することである。平成21年度は対象地域(13市町村)のうち洋野町の研究参加者2,333人のうち国保加入者1,557人(66.7%)を対象として、平成18年2月から平成21年4月までのレセプトデータを収集した。今回は40-69歳の1,166人(平均57.8歳、男性31%)を解析対象とした。対象者を危険因子(高血圧、耐糖能異常、脂質異常、喫煙、肥満(BMI≧25kg/m^2))の有無で分類した。医療費はレセプトデータから個人の対象期間中の総医療費を国保加入期間で除し、個人当たり1か月当たりの平均総医療費として算出した。各危険因子の有無別に医療費の中央値を求め、比較にはMann-Whitney検定を用いた。各危険因子の有無別のた医療費の中央値は、高血圧あり(524人)15,103円vs.なし(644人)7,988円(p<0.001)、耐糖能異常あり(71人)22,944円vs.なし(1,095人)11,106円(p<0.001)、脂質異常あり(295人)12,431円vs.なし(871人)11,121円(p=0.35)、喫煙あり(263人)10,924円vs.なし(903人)11,698円(p=0.98)、肥満あり(448人)14,236円vs.なし(718人)10,041円(p<0.001)であった。今回の解析では、高血圧、耐糖能異常、肥満がある者で医療費が過剰に支出されている可能性を示した。今後、危険因子の集積状況による医療費の過剰支出や医療費全体に対する影響(寄与割合)等について解析を進める。また、より精度の高い解析を行うため残る12市町村について対象者のレセプトデータを収集する予定である。
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