研究概要 |
本研究は、継続追跡中の地域コホート研究参加者26,469名の住所について丁目単位の地理的情報を付加することにより、コホート参加者の脳卒中罹患に関連する地理的要因を検討することを目的とする。また、対象人口約24万人の同地域にて県が行う脳卒中発症登録から脳卒中罹患率の地域差と地理的要因の関係についても検討する。今年度は該当地域の1/25000地形図および数値地図、50mメッシュ標高データから地形データの情報化を行った。具体的には丁目中心から50mメッシュに9×9座標について地形図およびGISソフトを用いて標高データを読み取った。また、土地利用状況を評価し、最寄りの主要道路、川、学校、役場等への距離を測定して順次データベース化した。作業開始にあたって、先ず国勢調査結果から町丁大字単位で推定された各種の情報を取得し、この単位情報からコホート対象地域13市町村における読取箇所を600程度と推定した。しかし、作業を開始したところ対象地域では山村部が多く起伏の変化が大きいこと、また、小さな集落が散在していることから、個人の居住状態を評価するためには字単位での読取が必要と考えられ、より細かく読取を実施した結果、7市町村で既に600箇所を越えて本年度の作業を終了した。来年度は残り6町村の読取を実施し、これらのデータから計算により字単位の居住地の特徴として平野部、南面斜地、北面斜地、窪地、渓谷等に分類してコホートデータとリンケージさせる。また、前述の国政調査結果から町丁大字単位で推定された様々なデータともリンケージさせる。読取と評価およびデータリンケージを実施次第、コホート集団の脳卒中罹患状況について地理的要因の関係を検討して関連学会に発表する。また、県地域脳卒中発症登録の既登録票について担当部局と協議して可能な範囲において町丁大字単位での分類を実施して同単位の罹患率を求める。
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