研究課題
平成22年度は、4社の従業員896名に対して疲労検診を実施した。疲労質問表を用いた主観的疲労度チェックでは、疲労がみられない安全群491名(54.9%)、軽度の疲労がみられる要注意群163名(18.2%)、強い疲労がみられる危険群241名(26.9%)であり、約1/4の従業員が強い疲労を自覚しており、特にシフト勤務がみられる職場で強い疲労がみられることが明らかになった。また、心拍変動解析を用いて安静閉眼時における自律神経系機能解析を行ったところ、トータルパワー値は年齢と有意な逆相関が認められ(r=-0.359、P<0.001)、トータルパワー値を調べることにより自律神経年齢を評価することが可能であることや、強い疲労状態の従業員の中にトータルパワー値の低下が顕著であるものが散見されることが判明した。さらに、疲労安全群491名中23名(14.1%)がLF/HF比5.0以上と交感神経系の過緊張状態であり、疲労の自覚がないにもかかわらず安静時も自律神経系のバランスが崩れている労働者が1割程度存在することも明らかになった。我々は、慢性疲労症候群患者の検討より、このような自律神経系のバランス異常は睡眠の質の低下に結びつき、疲労の悪循環に陥ることを確認してきており、過労死やメンタルヘルス障害の発生に関連した徴候であり、重要な疲労検診所見の1つであると思われる。尚、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被災地調査も行ったところ、極めて強いストレス下にある人々の自律神経系バランス(LF/HF比)はあまり崩れていないが、トータルパワー値の低下が顕著であるものが数多く認められた。これまでは個人差が大きいことより自律神経系機能におけるトータルパワー値の評価はあまりなされていなかったが、本臨床研究により数多くの被験者の自律神経機能評価を行った結果、脳年齢や疲労病態との関連が明確になってきており、トータルパワー値の評価が自律神経系のバランス(LF/HF比)とともに大切な健康状態を表す指標の1つであると考えている。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (16件)
Br J Haematol
巻: (In press)
Retrovirology
巻: 8(電子ジャーナル) ページ: 20
BMC Neurol.
巻: 10(電子ジャーナル) ページ: 73
Neuro Res Int
巻: (電子ジャーナル) ページ: 2010
Phytomedicine
巻: 17(11) ページ: 840-843
Life Sciences
巻: 86(19-20) ページ: 722-725
Clin J Am Soc Nephrology
巻: 5(4) ページ: 659-666
Comr Psychiatry
巻: 51(1) ページ: 78-85
日本疲労学会誌
巻: 5(2) ページ: 42-47
巻: 5(2) ページ: 35-41
アンチ・エイジング医学-日本抗加齢医学会雑誌
巻: 6(3) ページ: 335-342
巻: 6(3) ページ: 329-334