平成20年度は、平成21年度に行う我々の疫学フィールドでの大規模検診のための準備期間として、田主丸総合支所、保健福祉課との折衝、検診地区での区長への説明会など、様々な方面への働きかけを行った。心拍数の正確な測定には心電図での検査が欠かせないため、機種の選定、心拍数測定のプロトコールの設定などの話し合いを行った。心拍数の増加は、心・血管病の予知因子であるという報告があり、その関係の背景には、主に高心拍数が肥満、交感神経活性、高血圧などに有意に関連しているという点が示唆されている。この代謝異常の重積は内臓肥満を中心とした肥満症、高血圧、脂質代謝および糖代謝異常の集合体であり、近年、メタボリック症候群として注目を集めている。従って、どのような方法論で、心・血管病と認定するか、どのような基準でメタボリック症候群と設定するかなどについて詳細に検討した。 少数の横断研究では、高心拍数とメタボリック症候群の関係は報告されているが、縦断研究では、未だに明らかではないため、我々は田主丸町の川会、柴刈、竹野地区の一般住民を対象とした疫学的縦断研究を行うことを決定し、交感神経活性がメタボリック症候群への進展に関連しているという仮説を立て、それを実証するための大規模疫学調査を行うこととした。そのためには、少しでも多くの検診受診者がある悉皆性の高い住民検診にする必要があるため、今年度はその準備期間に充て、分担研究者との話し合いを密に行った。
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