研究概要 |
平成21年度は、4月中に田主丸総合支所、保健福祉課および検診地区での区長への説明会などを経て、5月14日より我々の検診地区である、久留米市田主丸町で大規模な住民検診を行った。心拍数の正確な測定には心電図での検査が欠かせないため、機種の選定、心拍数測定のプロトコールの設定などについて十分に議論を重ねた後開始した。 今回の検診には、11月末までに40歳以上の男女、1,943名が受診し、心電図は全員に施行することができた。これまでの研究結果から、心拍数の増加は、心・血管病の予知因子であるという報告があるため、今回の検診は主に1999年の受診者の10年後(2009年)の予後調査を兼ねており、1999年の心電図上での心拍数を基に、様々な分析が可能であると考えている。主に高心拍数が肥満、交感神経活性、高血圧などに有意に関連しているという点が示唆されている。この代謝異常の重積は内臓肥満を中心とした肥満症、高血圧、脂質代謝および糖代謝異常の集合体であり、近年、メタボリック症候群として注目を集めている。従って、1,999年の心拍数が高い人ほど、メタボリック症候群になる易いという仮説を立て、それを実証するための大規模疫学調査を行うこととした。 少数の横断研究では、高心拍数とメタボリック症候群の関係は報告されているが、縦断研究では、未だに明らかではないため、我々は1999年と2009年のデータを通して、田主丸町の一般住民を対象とした疫学的縦断研究を行うこととし、本検診の最終年度である2010年には、「安静時心拍数とメタボリック症候群」の疫学的なエビデンスを構築することを目指している。
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