研究概要 |
本研究の目的は、1)施設を利用した介入(施設群)と、2)自分の周囲に運動ができる環境を整える介入(環境群)について、運動習慣獲得及び心血管リスクや酸化ストレス関連指標への影響を明らかにすることである。これまで10-12週間の上記2群の介入を行ったが、本年度はそれに加え、本研究期間に実施した10-12週間の介入後2年のフォローアップ調査を行い、施設群と環境群との間で運動の継続性、心血管リスクおよび酸化ストレス関連指標に及ぼす影響の違いを検証した。 2008年に本研究に参加した施設群61名、環境群20名に運動継続性のアンケートを送付した結果、2年後の運動継続者数は施設群21名(返却数22)、環境群1名(返却数19)であり、環境群においては介入直後から3カ月後までに運動をやめるものが多かった(94%)。更に、施設群10名と環境群19名に対して介入後2年のフォローアップ検査として、血液・尿検査および体力測定を実施した。心血管リスクについては、施設群は2年後にベースラインに戻る傾向を認めた。酸化ストレス関連指標であるSOD活性については、運動を継続している施設群の方が、環境群に比べ有意に高まる傾向を認めた(施設群:介入前7.9±1.4,介入後7.4±1.5,フォローアップ9.3±1.2U/ml、環境群:介入前16.0±3.4,介入後15.3±3.9,フォローアップ13.8±3.6U/ml)。 以上より、10-12週の短期間の運動実践介入を行う際、終了直後から3カ月後にかけてのサポートが継続性を高めるためには重要であり、その後も継続することで、心血管リスクの加齢による変化を抑制でき、酸化ストレス防御系を高める効果が期待できるということが示唆された。
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