本研究は、特に以下のa)、b)に焦点を当て、研究を遂行する。 a)メタボリックシンドローム改善のために、生活習慣教育の効果を、個別研究として最もエビデンスの高いと考えられる無作為化比較試験を対象としたシステマティック・レビューとメタアナリシスにより統合した評価を行う。この際、メタボリックシンドロームの複合症候群という特徴を考慮して、メタボリックシンドロームの改善・非改善のほかに、個別の診断基準の統合値を多変量メタアナリシスにより総合的に評価する。 b)運動療法のみの場合および治療薬の効果に関するメタアナリシスとの比較を行い、生活習慣教育の効果に関する総合的評価を行う。 平成21年度は、文献レビューおよび多変量メタアナリシスなどの方法論に関する情報収集、および生活習慣教育の効果についての文献情報の収集をさらに進めた。その結果、生活習慣教育の高価に関するRCT研究の論文発表はまだ数が少なく、さらに検討を進めることが必要であることがわかった。また、前年度検討したメタボリックシミュレータについて、多重代入法を用いた欠損値の処理を行えるようにらなる改良を行い、診断基準項目のデータが多変量正規分布に従うという仮定の下で、統計的に得られていない基準値の要約統計量を算定し、メタアナリシスへの応用を試みた。
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