研究概要 |
乳幼児突然死症候群(SIDS)をはじめとする乳児突然死発症の一要因として、脂質代謝異常が挙げられることから、我々は過去の研究において、生体内での脂質代謝に不可欠なカルニチンを指標とし、その関連性を評価してきた。今年度は、従来の手法である細胞内ミトコンドリアの形態変化と臓器別カルニチン濃度による検討方法に加え、食餌中からのカルニチン吸収能に注目し、小腸の培養細胞(Caco2)を用いて検討を行った。(結果投稿中) さらに近年の報告により、家族の喫煙、家屋内の粉塵や化学物質、暑熱ストレス等の環境因子の関与も認められることから、神戸市内における家屋内の環境測定及び夏期の屋内外で生体が曝露される暑熱ストレスの測定を行い、突然死発症について予防医学的観点から検討した。(家族の喫煙:岡本摩耶他第67回日本公衆衛生学会で発表家屋内環境: Okamoto et al. Air borneconcentrations of fungal and indoor air pollutants inresidences in Kobe, Japan.夏期暑熱ストレス:結果投稿中) また、継続中の未挙児若年層を対象としたSIDS認知度の国際調査についても総括を行った。(Okamoto et al. Survey of sudden infant death syndrome (SIDS) awareness among younger generation in 8 countries) 以上より、従来のSIDS研究よりもさらに広角的に検討を行った本年度は、今後の研究活動の基礎となる有意義な結果が得られたものと考えられる。
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