研究課題/領域番号 |
20590677
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上野 易弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (30184956)
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研究分担者 |
岡本 摩耶 神戸大学, 医学研究科, 学術推進研究員 (10444209)
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キーワード | 乳幼児突然死症候群(SIDS) / カルニチン / 脂質代謝異常 / 小腸上皮細胞(Caco-2) / 膠芽腫細胞(GL261) / セネッセンス |
研究概要 |
乳幼児突然死症候群(SIDS)をはじめとする突然死発症の一要因として、脂質代謝異常が挙げられることから、我々は過去の研究において、生体内での脂質代謝に不可欠なカルニチンを指標とし、その関連性を評価してきた。最終年度である今年度は、昨年度に引き続き、食餌中からのカルニチン吸収能に注目し、小腸の培養細胞(Caco-2)を用いて検討を行った。Caco-2細胞は、かねてよりその層透過性とin vivoでの実験結果が、高い相関性を示すことが指摘されている。Caco-2細胞を単層培養することで、カルニチンの分子構造の違いによって生じる吸収機構への影響について検討を行った結果、腸管におけるカルニチン吸収の制御が生体のカルニチン代謝、並びに脂質代謝に影響を及ぼすことが示唆される結果となった。SIDS児におけるカルニチンの腸管吸収の検討が必要と思われた。(消化管由来培養細胞を用いたカルニチンの腸管吸収性評価医科学研究.岡本、上野) さらに、生体内におけるカルニチン合成の場の一つである脳について、膠芽腫細胞(GL261)を用いてカルニチンの抗酸化作用について検討した結果、カルニチンの存在下ではGL261にセネッセンスが誘導され、細胞の増殖が抑制されるごとが明らかになった。(Mechanism of senescence and anti-aging effect of carnitine in mouse glioblastoma (GL261) : Okamoto et al.BMB2010(第33回日本分子生物学会年会、第83回日本生化学会大会合同大会)で発表) 以上より、過去の研究の総括を行い、最終的な検討及び結果発表を行った本年度は、3カ年に亘るSIDS研究の最終年度として有意義であり、さらに今後の研究活動の方向性をも示す指標となる結果が得られたものと考えられる。
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