研究概要 |
本年度は,以下の項目に関して実施したので報告する。 1.昨年度の報告書でも記載したように,急性心筋梗塞の診断に,DNase Iを用いて検討することは,現在の研究環境では困難であり,また,本研究課題の最も重要な目的は,簡便に急性心筋梗塞かどうかを剖検症例で診断する方法を確立することであることから,急性冠症候群の発症早期から血中濃度が上昇することが知られているB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)とN末端プロBNP(NT-proBNP)が,急性心筋梗塞の診断に応用できないかについて検討した。まず,死後変化がこれらのバイオマーカーに及ぼす影響について検討したところ,NT-proBNPは,採血後,ヘパリンを添加して室温に2週間放置しても,6割強程度のサンプルでは,死後変化の影響を受けないことが判明した。しかし,抗凝固剤無添加およびEDTA添加の状態では,採血して3日程度で,NT-proBNPを含め種々のバイオマーカーの測定が不可能となった。次に,剖検時に採取した急性心筋梗塞および陰性コントロールの血液を用いて測定したが,これらのサンプルはすべて,添加剤としてEDTAを添加されており,バックグランドが高いため測定値を読めなかった。しかし,バックグランドは高いものの,急性心筋梗塞の事例では,バンドが肉眼的に確認できることから,測定器機を改良することにより,測定が可能になるものと考えられることから,測定器機の改良が必要との結果を得た 2.前年度に引き続き,連携研究者と共に,DNAが分解される現象をマイクロチップ電気泳動法により測定して,迅速にDNaseIの活性を測定する方法の開発に取り組む,その研究成果を報告した。
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